ヒロセ・コサック

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仙台とは何か

仙台とは何か

 旅するたびに、僕は自分に、仙台のメリットは何か、僕は仙台で何かが得られるかと問い続けている。もちろん僕がいま通っている東北大学は非常に素晴らしい大学であり、自分はかつて想像しなかった人々と出会い、想像しなかった生活を日々送り、毎日楽しく勉強している。しかしこれらはあくまでも東北大学のメリットであり、仙台のメリットではないと思う。もし僕が阪大、或いは東工大に行ったら、多分同じ楽しさで大学の生活を送れるだろう。

 仙台のメリットは何か、自分は仙台から何かを得られるか。その答えは、自分が訪れた旅先の増長とともに、無に収束している。

 仙台の人口はわずか百万をぎりぎりに超えたにすぎない、しかも多様性とバラエティーが非常に乏しい、ケバブ屋さんすら生き残れない。経済が目に見えるほど衰退している。自分が仙台に来てから一番銘記した言葉は閉店という。片平キャンパスの隣に次々と閉店した古書店、駅前から撤退した映画館、2010年までに全滅したドイツ料理屋さん、最近閉店したケバブ屋さんとアメリカンハンバーガー屋さんそして最近撤退したアップル仙台。大手の支店から、地元のお店、そして近所の店まで、まるで終わりのない虐殺のように閉店し続けている。「その代わりに、いつか新しい店ができるのよ」って反論する人もいるかもしれないが、代わりにできた店は必ずしも我々需要を満たせると限らない。片平の古書店がほぼ全滅した後、今年の四月一日にできたあらえしみオープンした前に、仙台都心部には文学を取り扱っている店はずっといなかったんじゃないか。

 更に、仙台の文化もと乏しいと思わざるを得ない。一応演劇が充実に、しかも結構安に値段で提供されているが、それ以外のほとんどの領域において、仙台の文化は砂漠に近い状況とも言えるんでしょう。美術館は宮城県美術館しかないし、展示品も大して面白くない。博物館も、仙台市博物館多賀城の古跡くらいしかない。まー、文明の歴史が短い陸奥だから博物館って致し方ないが、さすがに美術館と映画館に関してもっと頑張ってほしい。

 東京大阪名古屋はもちろん、仙台は京都や広島のような同じく人口百万台の地方都市にも負けているような気がする。仙台は京都に文化で負け、広島に産業で負け、そして福岡に多様性で負け、札幌に自然と農業すら勝てないでしょう。

 ここまで仙台を否定するのが、地元の方々にとって非常に失礼と思う。しかし僕は決して仙台を侮辱するつもりがない。僕は仙台の魅力、仙台の特殊性、仙台のメリットを見出し、それを自分の成長と結合しようとするだけだ。仙台に一年半だけ住んでいた僕にとって、きっと仙台にはまだまだ隠された魅力があるのを断言できると思う。現状は今の時点で、僕がそれを見出す手がかりすらないというのだ。

 僕が当初、東北大の為に東京や大阪などの選択肢を捨てて仙台に来たのを後悔していない。しかし将来にも後悔しないため、僕はもっと頑張って仙台で何かを見つからないといけないような気がする。

 仙台とは何か。この問いはこれからも続けるでしょう。